
登山人口は増えているのに、山岳会には若い人がほとんどいない——そんな現状を不思議に思ったことはありませんか?
多くの山岳会が「若い世代の参加がない」「高齢化が進んでいる」と悩んでいます。
本記事では、若者が山岳会に魅力を感じなくなっている背景や、現代の登山スタイルとのギャップ、そしてこれからの山岳文化のあり方について考察していきます。
山岳会の高齢化が進む背景
現在、多くの地域の山岳会ではメンバーの平均年齢が60代以上というケースが増えており、「新規会員が入ってこない」「特に若い人が定着しない」といった問題を抱えています。
一方で登山人口全体は増加傾向にあります。特に20代〜30代の若者たちは、ソロ登山やライトなハイキングなど、アウトドアに親しむ機会が増えています。それにもかかわらず、山岳会への参加率が低いのはなぜなのでしょうか?
若い人が感じる山岳会の壁
若者が山岳会に入らない、あるいはすぐに辞めてしまう背景には、いくつかの心理的な「壁」があります。
年功序列や上下関係の強さ
山岳会の多くは年齢層が高く、ベテランの存在感が非常に大きい傾向にあります。そのため、若手が意見を言いづらかったり、新しい考えを受け入れてもらえなかったりするケースが見受けられます。
参加へのハードルの高さ
定例会や全体ミーティング、山行への参加がほぼ「義務」のように扱われる場合、働き盛りで忙しい若者にとっては大きな負担になります。「趣味でやりたいのに、まるで部活や仕事のよう」と感じて距離を置いてしまうのです。
古い価値観とのギャップ
「登山とはこうあるべき」「装備はこうでなければならない」といった伝統重視の価値観が、現代の若者の自由なスタイルと噛み合わないことも、山岳会離れの原因となっています。
現代の若者が求める登山スタイル
若い登山者たちは、山岳会的な「集団での計画登山」ではなく、もっと自由で柔軟な登山スタイルを好む傾向があります。
SNSを活用した情報収集と発信
ルートや装備の情報はネットやSNSで簡単に調べられるため、必ずしも“ベテランに教わる必要”がなくなっています。また、山行の様子をInstagramやYouTubeで発信すること自体が目的になっているケースも増えています。
自分のペースを大切にする
「誰かに合わせて登る」よりも「自分のタイミングで行きたい場所に行く」ことを重視する人が多く、スケジュールが固定された山岳会の山行とは合いにくい傾向があります。
ミニマルでライトな装備
かつての重装備による縦走登山とは異なり、最近の若者は軽量・シンプル・スタイリッシュな装備を好む傾向にあります。山の捉え方がよりカジュアルで、日常に近い感覚になってきているのです。
若者に響く登山コミュニティとは
若い人たちが求めているのは、「組織」ではなく「つながり」です。
特定の団体に所属せずとも、ゆるやかに登山仲間とつながれる仕組みがあると、継続して活動しやすくなります。
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LINEやDiscordでつながる山好きのグループ
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SNSでの呼びかけによるフリースタイル登山会
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共通の趣味(写真・温泉・料理など)でつながるコミュニティ
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ライトな日帰り登山中心のサークル活動
このような形態では、上下関係やルールに縛られず、参加も自由なため、若者にとって心理的ハードルが圧倒的に低いのです。
山岳会が若い人と共存するために必要なこと
山岳会がこれからも登山文化の中心であり続けるためには、若者との共存の仕方を見直すことが求められています。
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イベントや会合のオンライン化、柔軟な参加制度
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上下関係よりフラットな関係性を重視する運営
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古い価値観の押しつけをやめ、登山スタイルの多様性を尊重する
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技術だけでなく「楽しさ」や「交流」を前面に出した企画
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若者の声を積極的に取り入れた新しい活動方針の検討
若者に合わせてすべてを変える必要はありませんが、受け入れる姿勢や柔軟さを持つことで、次の世代に山岳会の魅力を伝えることができるはずです。
まとめ
若い人が山岳会に入らないのは、「興味がないから」ではなく、今の山岳会の仕組みや雰囲気が現代の登山スタイルや価値観と合っていないからです。
これからの時代は、個々の楽しみ方を尊重しつつ、フラットで開かれた登山コミュニティをつくっていくことが求められます。
山岳会もまた、変化を恐れずに新しい形を模索することで、世代を超えたつながりと新たな価値を生み出していけるのではないでしょうか。

